活発な姉と比べて、初めて泣きながら登園した幼稚園
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先生からさずかった魔法
私が通っている園は、給食の時間が終わるとお昼寝タイムがあります。その時間には、各教室にカーテンが引かれるのですが、私はそこで読み聞かせの練習を先生としていました。と、いうのは、私だけ上手に読めなくて朗読会に参加できるレベルではなかったからでした。
そんなある日の事です。その時の絵本はシンデレラでした。私がシンデレラ役だったのですが、なかなか上手く読む事が出来ません。すると、先生は言いました。
もっと元気よく読もうよ! そう言われても、やはり声を出すことが出来ませんでした。どうしようかと考えていると、先生が教えてくれたんですけど、魔法って心の中にお願いするんだよ。だからね、もしどうしても出来ない時はね、心の中でお願いすればいいんだって! そうしたら出来るかもしれないよって言ってくれたのです。だからやってみようかなと思って、心の中で必死に願いました。どうか上手に読めますようにと。すると、なんとその日はちゃんと読むことが出来たんです。
それからというもの、私は何か困ったことがある度に、魔法の呪文を唱えて乗り切ってきました。そのおかげで、どんなことでも自信を持って出来ましたし、とても楽しく過ごせるようになりました。 -
娘と参加した幼稚園のリンゴ狩り
娘が幼稚園に入った年の秋、親子で参加するリンゴ狩りの連絡がありました。大抵のお母さんは行事を楽しみに待つと思いますが、私は人付き合いが苦手で孤立するのが常だったので、大勢が集まるこんな場は憂鬱でした。更に娘は喘息でよく休んでいて仲良しのお友達もおらず、その日は二人静かにリンゴ狩りかと寂しく思っていたのです。娘のことを考えるとまさか不参加というわけにもいかず、当日を迎えました。案の定あちらこちらにママ友とその子供達のグループが形成され、皆楽しそうに大盛り上がりでした。どこにも混ざれず、少し悲しい気持ちで娘とリンゴを採っていた時のことです。担任の先生が明るく晴れやかな様子で、私達に話しかけてきました。「今日はお天気が良くて、本当に素敵な日になりましたね」とニコニコし、体裁を気にすることもなく大きな口でリンゴをがぶり。果汁で手や顔をベタベタにしながら「お母さんとAちゃんもやってみて、美味しいから」と私達にも勧めました。そこからは3人でリンゴを丸かじりし、汚れた顔を見合いながら笑って過ごしました。そのうち先生は単独でいる親子をさり気なく集め、自分が中に入ることで仲良くできるように配慮して去って行きました。おかげでその日は本当に楽しくて、こんな大勢のイベントで良い思い出ができたのは初めてでした。その時の先生の温かい笑顔や明るく照らされたリンゴの木々、日頃は大人しい娘のはしゃいだ顔、何年経った今もありありと目に浮かぶのです。素敵な先生に出会えて幸せでした。
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長所を認めてくださった幼稚園の先生
我が家では年中から、長期休みの度に普段通っている幼稚園とは別に課外活動をするために「森のようちえん」に行っていました。うちの子はとにかくマイペースで、集団行動が苦手で、空気を読めずにいたので、それはそれは心配していました。平日に市役所の保健師の方に相談に行っていたくらいでした。年長組になる前の春休みの頃、森のようちえんのプログラムで、湖に近い森の中で散策をしていたときのことです。この日は親子で登園していて、森のようちえんの先生ともお話する機会がありました。森の池に着いたときにふとT先生に「実は、子どものことで悩んでいまして。」と打ち明けてみました。T先生は「そうなんですか。でもMちゃん、いいところいっぱいありますよ。」とおっしゃってくださいました。ちょうどうちの子が年下の子ども達を誘って、池の中にドボンと入ってしまったところでした。「楽しいことをとことん楽しもうとするところ。年下の子に優しくできるところ。お母さん、Mちゃんのよいところを伸ばせばいいじゃないですか。」と笑顔で答えてくださいました。今の今まで、自分の子どもの足りないところにばかり目がいっていたのに、その言葉でスッと胸が救われるような気持ちになりました。その日は、池にはまってずぶ濡れになった我が子を怒ることなく、着替えさせることができました。T先生の優しい眼差しには感謝しきれません。
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季節の行事を保育士さんと楽しめて良かった
私が行っていた保育園では様々な行事があり、40年経った今でも保育士さんといっしょに楽しんだことが思い出に残っています。例えば、お泊り保育をみんなでした時は、保育士さんが絵本を読んだり子守唄を歌ってくれたからぐっすり眠れました。私が特に楽しみにしていたのは夏祭りで、浴衣を着た園児と保育士さんがいっしょに盆踊りをしました。きれいな浴衣姿の保育士さんがとても素敵でした。入園式の時に緊張しなかったのは、優しく語りかけてくれた保育士さんのおかげだと思っています。こどもの日は保育士さんに指導してもらいながら新聞紙で兜を作ったり、小さな鯉のぼりを持って走り回ったりしました。物を作る面白さを覚えたのが保育園の時だったと記憶しています。保育士さんに連れられて近くの広い公園まで遠足に行ったのですが、道路を渡る時に危険がないかを常に注意してくれたので安心でした。用心深い保育士さんさんがいなかったら問題が起きていたかもしれないから感謝しています。保育士さんがサンタクロースになってクリスマス会を開いてくれたのが嬉しかったことです。保育士さんはお菓子を配ってくれたのですがとても美味しかったです。1月はもちつき大会をやって出来たばかりの熱々のお餅を保育士さんと食べました。保育士さんがきな粉にまぶして作ってくれたおやつのお餅は最高の味で何個もほおばってしまいました。
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幼稚園からの呼び出し
長男は幼稚園の年中さんの時、多動で癇癪もひどくお友達にもよく手をあげていたいわゆる問題児でした。一番悩まされたのは癇癪で、母親の私に対しては特にひどく、気持ちの切り替えが出来ない時、頻繁に感情を爆発させ私に対して泣き叫び、殴る蹴るを繰り返していました。毎朝登園させる時行きたくないと泣き叫び、そして園から帰る時、園の門が閉まっても息子一人だけ園庭の真ん中や駐輪場で泣き叫び帰るのを拒否する…そんな日々を送っていました。ある日、幼稚園の副園長先生から電話で呼び出しがありました。度重なる息子の問題行動について咎められると思い気を重くしながら渋々園へ足を運びましたが、思いもよらない言葉をかけられました。「お母さんよくがんばっていますね」その言葉を聞いた途端、私は涙があふれだしました。自分でも知らず知らずのうちに息子の事をため込んでいた事にその時初めて気づきました。「他のお母さんの目も気になりますよね」「お母さんのメンタルは大丈夫ですか?」母親の私を労わる言葉をたくさんかけて頂き、一人じゃないんだとすごく安心したのを覚えています。具体的な対応策も提案していただき、専門機関のサポートもあり息子は今ではすっかり落ち着いた小学生になりました。きっと副園長先生への感謝の気持ちは一生忘れないと思います。
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お世話になった先生との別れと再会
私は幼少時代を海外で過ごし、幼稚園の年長で日本に帰国しました。言葉もまた覚えたてて、日本の文化にもまだ馴染めなかったのですが、早く馴染めるようにと地元の普通の幼稚園へと通うことになりました。ドキドキしながら初めて登園した日のことは記憶に鮮明です。優しい女性のK先生が待っていてくれて「Aちゃん、先生と一緒に遊ぼうね」と手をとってくれ、その手がとても暖かくて安心したのを覚えています。日本語があまりわからない私は、本来はおしゃべりなのに、とにかくおとなしかったようで、先生はとても気にかけてくれていました。そんなある日、先生が妊娠して、幼稚園を辞めることに・・・赤ちゃんが先生にできたことは嬉しかったけど、いなくなっちゃうんだ〜ととても悲しかった。まだ幼いから、そんな気持ちを伝えることができずに、お別れの会でも先生の顔を見られずに、話しかけられても無言だった私・・・・先生は気持ちを察してくれたのか頭をなでなでして、「また会いに来るからね」とお別れしました。やがて日本語もぐんぐん上達して、小学校へ上がる頃には本来の陽キャラ全開になり、おとなしかった私はどこへやら・・・ある日、運動会で演技を終えて戻ると、母親の隣で号泣してこちらを見ている人が。。。よく見るとK先生でした!「Aちゃん!」と名前を呼ばれて私も一気に幼稚園児に逆戻り。無意識に「先生お別れ会の時、ありがとうと言えなくてごめんね!」涙と共に口からこの言葉が。先生は「わかっていたよ、そんなこと」と優しく抱きしめてくれました。今でも先生とはハガキでやりとりしています。
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些細な褒め言葉の力
もう40年以上も前の話です。その頃、私は幼稚園の年少でした。私の母はPTAの役員をしていて、幼稚園の終わりに、教室に残って打ち合わせをしたり、何かの作業をすることが多いため、私も幼稚園に残り、絵本を読んだり、積み木で遊んだりして時間を潰していました。ある時、教室に数人集まって作業をしていた先生の一人に隣の教室からハサミを持ってくるように頼まれました。暇をもてあましていた私は元気に返事をして、ハサミを取りに行きました。先生の机の上から大きなハサミを手に取った私は、すぐに隣の教室に戻り、先生にハサミを差し出しました。その時、私は特に何も考えずに、刃を持ち、刃先を自分側に向けて差し出したのです。それを見た、先生が「●●くん。えらい! ちゃんとハサミの渡し方知ってるんだね。かっこいい! そうだよね。刃を人に向けたら危ないもんね」と、満面の笑顔で言ってくれたのです。普段は少し怖い先生だったので、その先生に褒められたことがとても嬉しく、それ以降、どんな場面でもハサミを渡す時には刃先を持つようにしながら、いつもその先生から褒められた言葉を思い出すのです。幼稚園の先生ですから、子どものいいところを見つけて褒めることが当たり前なのかもしれません。それでも、どんな些細なことでも褒められた方は一生忘れないこともあるのです。
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幼稚園の先生がくれた自信