朝の登園時間。
園門をくぐると、子どもたちの「おはよう!」という声が元気に響きます。
小さな手をつなぎながら、今日という一日がまた新しく始まる――その瞬間に、毎回少し胸があたたかくなります。

子どもたちは、大人が気づかないところで日々たくさんの発見をしています。
小石を並べて形をつくったり、風に揺れる葉っぱをじっと見つめたり。
遊びの中にこそ、考える力や感じる力が育っています。

そんな日々の瞬間を大切にしているのが、
奈良保育園です。
ここでは、特別な行事よりも、日常の中にある小さなできごとを見つめています。

子どもが転んで泣いたあと、もう一度立ち上がる姿。
友だちの靴をそっと並べてあげる優しい手。
「ありがとう」「どうぞ」といった言葉が自然に交わされるその瞬間こそ、
保育の本質が詰まっているように思います。

また、奈良という地域には、ゆったりとした時間が流れています。
歴史あるまちなみと、四季のうつろいが子どもたちの感性を豊かにします。
園庭に差し込む光、土の匂い、虫の声――それらすべてが子どもたちにとっての教材です。

保育士たちも、この環境の中で多くを学びます。
子どもたちの柔軟な発想に驚かされ、思いやりの言葉に励まされる。
保育は“育てる”仕事でありながら、同時に“育てられる”仕事でもあります。

行事の日、保護者の方から「家では見られない姿が見られてうれしいです」と言われることがあります。
その言葉を聞くたびに、園と家庭がつながっていることのありがたさを感じます。
家庭では見えない成長を、園が伝え、家庭ではできない経験を、園が補う。
その関係が、子どもの成長をより豊かなものにしていくのです。

保育は、特別なことをする仕事ではありません。
子どもたちの「小さなできた」を一緒に喜び、
日々の積み重ねの中にある成長を見守ること。
その連続が、未来をつくっていくと信じています。

これからも子どもたちとともに歩みながら、
笑顔あふれる保育を続けていきます。