保育士という仕事は、やりがいに満ちていますが、その一方で、将来の生活設計、特に「お金」について不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか。特に、キャリアの大きな節目である「定年」を目前に控えると、退職金や年金はいくらもらえるのか、その後の生活は成り立つのか、といった不安はより現実味を帯びてきます。安心して定年を迎え、豊かなセカンドライフを送るためには、感情論ではなく、具体的な数字に基づいたライフプランを、できるだけ早い段階から考え、準備しておくことが不可欠です。ここでは、保育士が後悔しないために知っておくべき、定年後のお金の話と、今からできる準備について解説します。 まず、定年後の生活を支える大きな柱となるのが「退職金」と「公的年金」です。この二つは、勤務先が公立か私立かによって、その仕組みや金額が大きく異なります。公立保育士の場合、退職金は地方公務員の規定に沿って支払われ、勤続年数に応じて算出されるため、比較的安定しており、見通しが立てやすいと言えます。一方、私立保育士の退職金は、その法人の就業規則や経営状況に大きく左右されます。独自の退職金制度を設けている法人もあれば、中小企業の退職金共済制度や、福祉医療機構の社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入している場合もあります。自分がどの制度の対象なのか、そして、現時点でどのくらいの退職金が見込めるのかを、早い段階で園に確認しておくことが非常に重要です。 次に「公的年金」です。日本の年金制度は、全国民共通の「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」の二階建て構造になっています。保育士として厚生年金に加入して働いていれば、将来、この両方から年金を受け取ることができます。毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」には、これまでの加入実績や、将来受け取れる年金の見込額が記載されています。この書類に必ず目を通し、自分の年金がどのくらいになるのかを把握することが、ライフプランを立てる上での第一歩です。一般的に、年金だけでは現役時代と同じ生活レベルを維持するのは難しいと言われています。退職金と年金を合わせ、定年後の生活費がどのくらい不足するのかを、具体的にシミュレーションしてみましょう。 その不足分を補うため、多くの人が定年後も「働く」という選択をします。しかし、再雇用やパートタイマーとして働く場合、収入は現役時代よりも大幅に減少することを覚悟しなければなりません。この収入減をどう乗り越えるか。そのための準備は、定年間近になってから始めるのでは遅すぎます。若手や中堅のうちから、将来を見据えた「資産形成」に取り組むことが、現代を生きる保育士にとって必須の知識と言えるでしょう。国が税制面で優遇している「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「NISA(少額投資非課税制度)」といった制度を活用し、コツコツと長期的な視点で資産を育てていく。こうした金融リテラシーを身につけることが、将来の自分を助けることに繋がります。 もちろん、キャリアアップによって、現役時代の収入そのものを上げておくことも重要です。主任や園長といった役職に就けば、役職手当によって収入は増えますし、将来受け取る退職金や年金の額にも影響します。また、専門性を高める資格を取得し、自身の市場価値を高めておくことは、より良い条件の職場へ転職する際の武器となり、結果的に生涯賃金を上げることにも繋がります。お金の話は、どこか遠慮してしまいがちですが、目を背けてはいけません。自分のキャリアと人生を守るために、お金と真摯に向き合い、計画的に準備を進めていくこと。その冷静で賢明な視点こそが、あなたを、経済的な不安から解放し、心から安心して子どもたちと向き合える、豊かな保育士人生へと導いてくれるのです。
後悔しないために。保育士が知っておくべき定年後のお金とライフプラン